人の気持ちが分からないという悩み
クライアントのコミュニケーションの悩みを聞いている時、次のような言葉を聞くことがあります。
- 「上司はなぜ私の言動にイライラするのか分からない」
- 「旦那はどうして私の気持ちを分かってくれないのか分からない」
- 「子供はどうして私の話を聞いてくれないのか分からない」
- 「友人はどうしてあんなひどいことを言うのか分からない」
- 「普通だったらこういうことはしないのに、なんであの人には分からないんだろう」
- 「人としてありえないことを、どうしてこの人は出来る・言えるんだろう」
- 「あの人のことが理解できない・分からない」
・・・こういうセリフ、言ったことも聞いたこともある方も多いかもしれません。
このような方に、2つばかり、情報提供をさせていただきます。
「普通」は人によって違う
一つ目は、あなたが「普通」だと思っていることは、その人にとって「普通」ではないということ。
その人は、悪いと思ってないし、普通だと思っているからこそ、やっています。
そうでなければ、そもそもやってない。
たまに、その人は「自分が悪い」と口では言うかもしれません。
ですが、悪いと理解しているのは理性レベルの話であって、潜在意識レベルではありません。
私たち人間は、どんなに悪人や犯罪者であっても、自分が正しいと思っています。
だから他の人にとって理解不能の行動であっても、潜在意識では何らかのメリットに基づいてやっています。
その行動がどんなに道徳的に外れたことであっても、無駄なことであっても、です。
これは私が提供するアサーション(別名アサーティブコミュニケーション、アサーティブネス)の基本の考え方です。
殺人や不倫も解釈次第
しかも、物事に良い悪いもありません。
私たちが物事に解釈を付けているだけなのです。
・・・というと、殺人や不倫は「どう考えても悪い」という人が出てきます。
でも、それも解釈次第です。(※だからと言ってそれらをしなさいと言っているわけではありませんからご了承ください。)
文化や時代が変われば良い・あるいは少なくとも悪くないとされることもありますよね。
大昔はいけにえやら、戦争やらよく人を殺していましたよね。今でも戦争やらなんやらで人を殺しても場合によっては、英雄とされるケースもありますよね。
アメリカでは防衛のための殺人は、無罪ですよね。
そして一人以上の配偶者を持つことがOKだった時代や、今でもOKな文化がありますよね。
相手のことは分からなくて当然
その人のことはその人しかわからない。
そして他の人もあなたのことはわかりません。
あなたが相手のことを分からないのも当然だし、相手があなたの「普通」を分からないのも当然です。
私たちはそれぞれ頭の中にフィルターを持っています。
そのフィルターは生まれてからこれまでに経験を通して、あるいは両親や社会などから教えられた価値観や考え方などからできてきます。
そして私たちはこのフィルターを通して世界を見ています。
フィルターは人によって違うため、私たちは同じ世界に生きていても、見ているものが全然違います。
よって、他人のことを100%は分かりませんし、分かるはずがありません。
その人のフィルターをそっくりそのまま借りれるなら話は別ですが。
そして相手もあなたのことを100%は分かりませんし、分かるはずがありません。
だから、「あの人のことは分からない」とおっしゃるのはそれで正解ということです。
他人のことは分からないのです。
いや、分かった方がおかしい。
「私には彼・彼女のことが分かる・きっとこうに違いない。」という方、
超能力者ですか?
・・・・超能力者は他人の気持ち分かるのかなあ。。。?
人のことは分からない、と思った方が楽
これまでの説明をしてきても、「いやでも絶対彼は私のことを馬鹿にしているからこういう行動にでているんだ。私にはわかる」などと言い張る方がいらっしゃいます。
「彼は私の気持ちを汲み取るべきだ」
そう考えたいのなら、そう考えれば良いと思います。
ただ、実は「人のことは分からない」という前提で生きたほうが、楽なんです。
「私にはAさんのことがよく分かる」という時、相手をジャッジしているケースが多いです。
Aさんの話を聞きながら自分の解釈でフィルターかけているだけなので。
だから、Aさんに関して決めつけや期待をしてしまうのです。
決めつけや期待に相手が沿ってくれなかった場合、あなたは腹が立ってしまいます。
「普通こうするべきなのに、なんであの人はこういうことをするんだろう」って。
でも、最初から他人のことは分からない、と思っていれば、「分からないから本人に聞こう」と発想が変わります。
だから極力相手をジャッジせずに、相手の話を聞ける確率が高まります。
ビジネスでも人の話を聞いた方が良い
次のどちらの人がビジネスで成功するでしょうか?
①「これはお客様にとってよいことだから」と自分が良いと思うサービスや商品を売る人。
②「私はお客様目線で何が嬉しいのかわからない。
それを知るにはお客さん本人に聞くのが一番」と思ってアンケートなどを通してお客様の声を聞き、それを反映させる人。
答えは明白ですよね。
“「他人は分からない」って良い考え方だと思います。
分からないからこそ、人の話を聞ける。
そして人の話を聞けるからこそ、相手を尊重できる。