戸や蓋などを開けっ放しの人に、何回言っても学ばないのはなぜか

あなたの身の回りに、開けた後の蓋や開いたドアなどを閉めない人がいませんか?ペットボトル、歯磨き粉、お菓子の袋、キャップ類すべて開けっぱなし。

そしてそんな人に何回注意してもやってくれない、なぜこの人は学習しないんだろう、と思ったことはありませんか?

私の周りにもいます。というか、

私がそう。。。

こちらのウェブサイトは、相手も自分も尊重するコミュニケーションスタイル「アサーション 」に関するコンテンツを中心に配信しておりますが、なぜか2023年に、この記事(多分最初に投稿したのは2020年ごろ)にアクセスが結構集まっています。おそらく、以下のどちらかの人が見てくれていると想定しています。

  • どうしても戸を閉めるのを忘れてしまう人
  • 自分の周りにそういう人がいてどうやったら直してもらえるのか探している人

私は、前者の方で「閉められない人」の立場から基本的には書きますが、自分が意識の仕組みやコミュニケーションについて勉強して分かったことなども含めて書いていきます。

ちなみに私はロサンゼルス郊外の田舎で、60くらいの動物と自給自足しつつ、ロサンゼルスの大学で経済データの仕事をしつつ、副業で起業家のマーケティングのお手伝いをしている日本人の中年女です。

本題に入ります。

目次

結論を先に言うと、もしかしたら、ADHDなのかも?

以前、日本のバラエティ番組で、ヒロミが奥さん(松本伊代)はよく台所の棚の扉や引き出しを開けっぱなしにしていて自分が閉めてあげると笑いながら話しているのを見ました。

それを見て、こう思いました。

私もそうw(ヒロミではなく、松本伊代の方)

その他にもおっちょこちょいエピソードがたくさんあるのですが、運よくというか運悪くというか、ヒロミのように、「全くもう」と言いながらも直してくれる人が周りにいたので、自分が開けっぱなしの人であることにはあまり気づいていませんでした。家では母親の方が私よりももっと開けっぱなしにしていたので私はあまり注意の対象にならず。大学からは一人暮らしや外出が多く、やはり気付きようがなかったのです。

それに、若い頃はおっちょこちょいがあってもテヘペロとやってれば「天然」とか、「抜けていて面白い」ですんでいたのです。

ですが、子供が生まれてから+自分が年取ってきてからは「天然」ではだんだんすまされなくなっていきました。

一時期友達がルームメイトとして私達と住んだ時に、初めてその人に指摘されました。

具体的には以下の通りです。

  • ペンのふたを閉めない・すぐ無くす
  • 台所などの部屋をパッとみると、いつでも扉や引き出しが何個も開いている(泥棒が入った後のようにw)
  • スタバとかでコーヒー買って自分で砂糖などを入れたあと、ちゃんと蓋をしないのでこぼすことがある
  • ありとあらゆる袋や蓋を閉めない・閉め忘れるので物をこぼしたりする
  • カバンとかも常にチャック閉め忘れてる
  • そして、それらの記憶がない
  • ついでに物理的な物ではないけど、やりっぱなしのプロジェクトなどが多々。。。

その友達も、怒る訳ではなく笑いながら言っていましたが、笑えないようなこともありました。

  • 車のドアやトランクを一晩開けっぱなしだった
  • 家の玄関のドア開けっ放しとか鍵刺さりっぱなし

これらは一回や二回の話ではなく何回も、です。。。。

他にも、たくさんありますが、割愛します。

自分が子育てと仕事で精神的に余裕がない時や、何かに夢中になっている時は特に開けっ放しが増えました。恐らくですが、やることや考えることが増えると、自分の中では優先度が低いのか、真っ先に「開けた物を閉める」というアイデアが脳から抜け落ちるといった感じでした。

その指摘をしてきた友達は実はアスペルガーだったのですが、私と子供を見てもしや、発達障害の類かもしれないと思ったのだそうです。私や子供の過去の話を聞いたり今の様子を見ていろいろ繋がるところがあると思ったそうです。(子供に関しては、その人以外からもADHDかもとはよく言われていました。)結局アスペルガーなども含めて子供の診断をしてもらおうといろいろ探しているうちに、私自身がADHDという診断を受けるに至りました。30代後半の話です。

そして診断を受けた後に、いろんなADHDの人の話や対処法などについて学び、自分のことやおそらくADHDだったであろう私の母親、そして娘の言動など全て「特性」として腑に落ちました。アメリカは日本よりもADHDの情報が多いので、その点はラッキーだったかもしれません。

ADHDが戸を締めるのを忘れる理由(脳の作り)

ちょっと「戸を締める」と言うことから話はそれますが、ADHDと診断されて、私の長年の謎がたくさん解明されました。

私は「開けた物を閉める」という簡単なことができないのですが、勉強や仕事は結構できる人として分類されてきた人生でした。

ですが、ADHDと言われて真っ先に思い出したのが学生時代にレストランでバイトを数回やろうとしてどこでと数日以内にクビになったこと。その職種では明らかに仕事ができない人でした。

また、私は興味のあることにはハイパーフォーカス(過集中)状態に入ってしまい、セルフケア(食事、睡眠、お風呂など)を忘れてしまうこともありました。ある日ギター練習してたら気がついたら次の日の朝だった、ということがよくあり、それは誰にでも起こる普通のことだと思ってました。

これらのことと「戸やふたを閉めない」ということには共通点があります。

それは、脳の中にアイデアや信号が常にたくさん湧いてくるため、自分の注意や関心ごとが「次のこと」にすぐ移っているということ。次に興味あることとか、新しい刺激とか新しい情報などです。自分が興味を持っている内容であれば、もっと知りたい、次のことを知りたい、というのがずっと続くのでハイパーフォーカスになる、という説明が私の中では今しっくりきています。

今、私がやっている仕事もアイデアを常に出し続けるクリエイティブな内容で割と特殊な仕事なので、天職だと思ってます。私の副業ではビジネスのアイデアを次から次へと出すのですが、実際にそれをやるのは私ではないので問題ないのです。

一方、レストランの仕事の場合、他人のニーズを聞いて覚えておいてそれを順序よくこなすという、Executive funcation(実行機能)が圧倒的に欠けているので極端に苦手なようでした。しかもそれをやりながら気配りをしてニコニコ笑顔で対応というのは私にはハードルが高すぎて全くできませんでした。

秘書のようにいろんなことを同時進行で段取り良く計画して細かいとこに気を配るような仕事もできません。事務や会計も無理。子育てや家事もやらなければいけないからやっているものの、本来だと多分向いてない部類に入ると思います。PTAとかそういうのも向いてない。

そんなわけで、戸や蓋を閉めるということにおいても、戸を開けた後、もう次のことに意識が移っているため、閉め忘れてしまう、という説明が私の中ではしっくりきています。

ある程度は改善するけれどもなかなか難しい

ADHDと診断されてからは、いろんな対処法をためしました。結果として多分80%くらいは改善しましたが、100%はできません。

一応、周りにはある程度は戸を閉めるようにはするけど、忘れたらごめんよ、私は他のことで頑張るから見逃して、と言ってあります。

ちなみに、私はジャックラッセルという犬と暮らしていたことがあります。他の犬種に比べて特に、衝動性・多動性が高い犬種で、英語で検索すると、ジャックラッセルはADHDだと良く書かれています。(もちろん、個体差あり。)その犬を見ていて、ヒントを得たことがあります。

ジャックラッセルは俊足で、ドッグパークに連れて行くとボールをキャッチするのが上手く、誰よりも輝いていました。私以外の人が投げてるボールもどんどん取ってすごく嬉しそうに他の人たちにも絡むので、いつでも人気者でした。

ところが一方、この犬はうちにいる他の動物も、ボールのように追いかけてついでに攻撃してしまうという困った面がありました。元々狩りのための犬なので、他の動物が動いたりするとどれだけじっとするように訓練しても、どうしても本能で体が動いてしまうようです。

そんな訳である時、トイレのために庭にジャックを出していた所、うちに来たコヨーテに自分から突っ込んでいってしまい、やられてしまいました。数分の出来事でした。命は助かりましたが怪我をして数日、人(というか犬)が変わったように大人しくしていました。ですが、回復した後、すっかり元に戻り、引き続き他の動物を攻撃していました。。

これは、飼い主の躾が足りないからだとか(うちは里親だったので元の飼い主は知りません)、この犬は良くないとかいうこともできるのですが、それよりもそういう特性だからある程度は仕方がない、環境を変えるしかないと思う方が私には自然だったため、今その犬は農場ではなく都会で、週末ドッグパークに行くのが好きな人たちと幸せに暮らしています。

さて、ADHD以外にももう一つ、私なりにしっくりきた理由があるのでご紹介します。それは。。。

戸を開けることにはメリットがあるが、閉めることにメリットがないと感じているから。

私的になぜこの説明がしっくりくるかというと、上記の通り私はたくさんの動物と暮らしていますが、やはり動物たちはみんな何かを開けることはあっても閉めることはないのを何度も観察しているからです。 

私たちや動物が何かを開ける時、なんらかの目的があります。自由が欲しいとか、どこかに行きたいとか、何かを食べたいとか。そしてそれを開けた時点で、目的は達成しているのでその後、閉めるという行為に至りません。

私も、母と住んでいた時は、母も戸を閉めないので、戸を閉めないことで注意されることもなく戸を閉めることのメリットがなかったのかもと感じています。今は、ADHDではない家族と暮らしているので、戸を閉めると注意されないし他の人が怪我をしないというメリットがあるので、以前よりは戸を閉めるようになりました。。。(ただ上記の通り、それでも100%はできません。)

ADHDの薬を試したこともあります。その薬を飲むと頭の中が静かになり、閉じまりができるようになっていました。ですが、引き換え?に、私の長所であるいろんなアイデアが思いつくというのがなくなってしまったので、すぐにやめてしまいました。頭の中がシーンとして落ち着いた一方、今まで沸いてくるように出てきたアイデアが浮かばなくなって逆に怖くなったのです。「戸を閉める以外で頑張るから見逃してくれよ」は、そんな背景から言っています。

最後に私なりの対処法を紹介します。

ここまで、なぜ戸や蓋を開けっぱなしにする人に注意しても学ばないのかの理由を書きました。これから私なりの対処法を紹介します。

もしあなたが閉めない方であるのなら、もしかしたら、ADHDかもしれないということは相手に言わない方が良いかもしれません。人によっては言い訳とみなされます。ですが、自分のためにADHDの人用の取扱説明書的な情報を集めると結構役に立ちます。

あなたの周りにいる「閉めない人」がもし、自分で分かっていても気をつけようとはしてるのに閉められないタイプの人であれば、ADHDを疑っても良いのかもしれません、そして、ジャックラッセルを思い出して、「そういう人」というある程度のあきらめから始めても良いかもしれません。

そして、一緒にどうやったらその人自身は戸を閉められるのか一緒に考えてみると本人にとってもありがたいかと思います。「どうしてあなたは戸を閉めないのか。何回言ったらわかるのか」という、本人にとってもわからない事を聞いても無意味です。本人も知ってたらとっくの昔にやっています。それよりも、どうやったらこの習性を軽減できるのか、他の人のためにも一緒に考えよう、というスタンスの方が良いと思います。

私と家族の場合は、「戸を閉めないと罰金」というのもやってみたのですが、それでもダメでした。今の時点では、最初から「戸や蓋を閉めなくて良い」環境を整える、が可能であれば一番確実だと思っています。

具体的に説明しますと、

  • 戸を開けたら、自動的にゆっくりとが閉まる蝶番に変更するとか、戸自体を可能であれば自動的に閉まるようなものに変更する→私はこれが一番効果がありました。
  • 電気製品などはある程度の時間つけっぱなしだと勝手に消えるようなものに全部変える。
  • 蓋を閉めなくて良いペンとかボトルなどを最初から使う。
  • ペンに至っては、私の場合は、ほとんどデジタルにしているのでペンや紙をそもそも使わない
  • 収納や整理のために使う箱は全部透明なものにして可能ならラベルも貼って中に何が入ってるかすぐわかるようにする。ADHDの人の場合、「視界に入らない=存在しない」です。これは英語でADHDの動画出している人がほとんど言っていました。収納の際に透明ではない箱に入れてしまい込んだら最後、それを持ってたことが記憶からなくなってしまうのですw。なので、物が見つからなくなっていろんな引き出しや扉を開けて探すことなり、閉め忘れる可能性が高くなります。
  • 可能であれば物を全体的に減らす。ものが多いから探すために戸を開けて閉め忘れるというのが減ります。ただ、一緒に住んでいる人との兼ね合いもあるので、今の私には難しいです。

そしてこれら以外にも、もしかしたら、閉めるのを忘れる人のスケジュールや精神状態、ストレスレベルなどにもう少し注意を払ってみて、疲れてないか声をかけてあげるとかどうでしょうか?

私の場合は、時々お掃除の人を雇っています。部屋がきれいであるほうが開けっ放しが目立つので閉めたくはなりますw.

まだ、毎日ではないけどヨガや瞑想をして精神を落ち着けたり、食事に気を使ったりはしています(ADHDはある程度食事でなんとかできるという情報もあります。)

なので開けっぱなしの物が目立ってきたら、逆に自分は休んだ方が良いかもというバロメーターにもしています。

戸を閉め忘れる人をなんとかしたいと思ってこの記事にたどり着いた方の中には、「なぜ戸を閉めない人が悪いのに、自分がここまで歩み寄らなければならないのか」と思う方もいるかもしれません。

そういう場合、一つ覚えておきたいのは、私たちは他人を変えることはできないということ。その人が戸を閉めないという状況が「あなた」にとって良くないのであれば、その人に協力してもらうように一緒に歩み寄ることが最初の一歩かと思います。

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この記事を書いた人

シャイで言いたいことが言えない・すぐイラッとしてしまい、人間関係のストレスで我慢の限界に来ている方に、知ってほしいことがあります。あなたが今持っているコミュニケーションパターンは、特定の相手、状況などに対して、あなたの無意識が反応している単なる「条件反射」であって、あなたの「性格」ではないということです。条件反射は、犬のトレーニングと同じで、学習と反復である程度直すことができます!

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