無意識のパターンとコミュニケーションの関係
昨日のレッスンでは、「4つのコミュニケーションスタイルは性格ではなく、パターンである」というお話をしました。
つまり、あなたは何等かの理由でその無意識のパターンを身につけたということです。今日は無意識のパターンとはそもそもどういうことか、説明したいと思います。
ちなみに、「早くコミュニケーションのテクニックを教えてくれよ」という方、少しお待ちください。なぜならば、無意識のパターンについて理解し、そのパターンを変えていくトレーニングをしないと、「言い方」やテクニックだけを知っても、トリガーとなる特定の相手や状況に直面した時に、結局今までの無意識のパターンに陥ってせっかく習った「言い方」を言えないという状況が続くだけだからです。なので、こちらのレッスン、および私が提供する本編のアサーショントレーニングでは、無意識へのアプローチも重要視していきます。
無意識のパターンとは
あなたは毎日、学校、会社、家など同じ場所に行くことがあると思います。何度も同じ道を繰り返し通勤・通学していると、そのうち考え事をしながらでも目的地につけるようになったという経験はありませんか?
あなたがもし車を運転する人であれば、さらにわかりやすいと思います。車の運転は、教習所に通って練習するほど高度なスキルであったはずなのに、なぜ毎日の習慣を通して慣れてしまった今、考え事をしながらでも運転できてしまうのか。不思議だと思いませんか?
からくりは、意識の仕組みにあります。
意識の仕組み(顕在意識と潜在意識)
ご存知の方も多いと思いますが、私たちの意識は二つの部分からできています。
- 私たちが意識することができる意識(顕在意識)・・・意識全体の約10%
- 私たちが意識することができない意識(潜在意識)・・・意識全体の約90%
私たちは何度も同じことを繰り返し行うと、無意識の習慣等を管轄する潜在意識にそれが刷り込まれます。
そして、そうなってしまうと、あなたの10%の意識が考え事をしていても、潜在意識が運転してくれるというわけなんです。ですが、ある時、あなたが毎日行く目的地が何等かの理由で変わったとします。例えば引っ越しや転職など。そうすると、おそらくあなたは最初の数日・数週間は間違えないように道に注意を払うでしょう。ですが、またしばらくしたら、考え事をしていても目的地につけるようになります。
別の例をあげます。これを読んでいるあなたは「パブロフの犬の条件反射」をご存知でしょうか?犬に餌をあげる前にベルを鳴らすというのを毎日やっていると、そのうち餌をあげなくてもべるの音を聞いただけで犬はよだれを垂らしてしまう、という実験です。「よだれを垂らす」という行為が無意識に起こるため、無意識は変えられない、と思う人もいるかもしれませんが、無意識の習慣を変えることはできます。どうすれば良いかと言えば、犬にベルを鳴らしても餌は出てこないという条件付けを再び学習させれば、犬も反応しなくなります。
梅干しのことを考えると日本人の多くは唾液が出てくるのも同じ理屈です。私たちは梅干しは酸っぱいということを反復学習によって知っているため、梅干しと唾液を出すという反応が条件づけられています。事実、梅干しを知らない外国人は梅干しを見ても唾液が自然に出てくるということはありません。もし何らかの理由で梅干の味が変わって、それを繰り返し食べていけば、日本人でもだんだん唾液が出なくなるでしょう。
コミュニケーションスタイルも単なるパターン(条件反応)です。
この話と「アサーション」に何の関係があるのか、と思うかもしれませんが、大有りです。コミュニケーションスタイルも単なるパターンというお話をしましたが、つまり、特定の条件が揃った時に、条件反応として出てしまうのがコミュニケーションスタイルなのです。
なぜ、いつその条件反応が身についたのかと言えば、あなたのこれまでの人生の中で、親やその他の身の回りの人たちとのやりとりなどによって学習を通して刷り込まれたと言えます。子供の時に親から身についたパターンもあるかもしれません。(かと言って、「親のせいだ」と言いたいわけではありません!)
そんな長年にわたって刷り込まれたことを変えることができるのか、と疑問に思うかもしれませんが、パターンを変えることはできます。なぜならば、そのパターンを身につけるまでに何らかの「学習」をしたと上記に書いたとおり、別のパターンを学習しなおせば前のパターンは無くなります。
(2023年10月5日更新)
「人生の主導権を自分に戻す(アサーション・イントロ・レッスン目次)