体感時間:時間だけが過ぎて焦ってる方のための12のヒント

何もしていないのに時間だけが過ぎる

あなたは大人になってから、時間が経つのが早くなったと感じたことはありませんか?

あるいはやりたいことがあるのに忙しい日々の生活に追われて、時間がただすぎていくことに焦りを感じていませんか?

この記事では、なぜ年齢を重ねるごとに時間の流れが早く感じるのか、またどうすれば体感時間を変えることができるのかについて深掘りしていきます。Save

目次

大人になると体感時間が早くなる一般的な理由(脳の情報処理と時間知覚の仕組み)

ルーティン化と無意識の行動が増えるから(オートパイロット)

多くの脳科学者や専門家によると、時間感覚の歪みは脳の情報処理方法と関連しているそうです。

脳は情報が入ってきたときに、以前に何度も経験している情報・経験の場合、どこを端折ってどこに注意を払うか効率的にすぐ処理ができるのですが、新しい経験や情報の場合は情報処理に時間がかかります。

脳が素早く処理する場合、不要な情報は省かれるため体感時間が短く感じられ、情報をゆっくり処理する場合は、ゆったりと時間が感じられます。

例をあげます。

あなたが通勤や通学などで毎日同じ場所に行っていると仮定します。初めてその目的地に到着した時は、道順などに注意を払っているのですが、何回か同じ場所に行くようになると、考え事をしながらでも「いつの間にかついてしまった・その間の記憶はない」という経験はありませんか?

本来ならその場所に行くまでに多くの情報を処理しているはずなのですが(特に運点している場合)、記憶GAないというのは、その目的地へたどり着くことがルーティン化してしまったために、脳がいろんな情報を省き、オートパイロット化しているからです。

私個人の別の例を挙げると、ある時期ものすごく忙しかったことがあり、シャワーを浴びているときに、自分が髪の毛を洗ったかどうかの記憶が飛ぶということがありました。体がちゃんと動いて作業をしていても、意識の中にその時間が認識されていないため、時間がすり抜けていく感覚になっていたようです。

また、逆に、数秒のことがスローモーションで感じられることもあります。交通事故やその他、火事場の馬鹿力を発揮しなければならないような状況で、時間が引き延ばされる感覚を経験したことはありませんか?私はあります。これは危機的な状況で脳がフル回転で注意をそこに払っているからです。

そのようなわけで、年齢と時間認知の変化が関係しているのは、子供の頃は「初めての経験」が多く、大人になるにつれて、経験ずみの事柄やルーティン、予想できる出来事が増えていくためと言えます。

頭に入ってくる情報量が増える・中断が多いから

また、大人になるにつれて頭に入ってくる情報量や中断が増えることも原因の一つです。子供は学校や友達のことなど基本的に、自分のことだけに集中できる状況である場合が多いです。一方、大人の場合、家族の世話や、社会人なら会社の人間関係やプロジェクト、経営者ならそれ以外に注意を払わなければならないことが多すぎて、それ以外のことで脳が情報を省く部分が増えていきます。

また、何かをやろうとしているときに、「中断」が多い場合、もともとやっていたタスクや作業などにもう一度フォーカスを戻すのに23分15秒かかるそうです。(カリフォルニア大学アーバイン校)。それを考慮すると、子育てや家事をしつつ仕事をする人の場合、自分がやっていることを中断して家のことをするため中断が多く、気が付いたら1日終わっていた、という生活になってもある意味仕方がないのです。

体感時間が早くなるとなぜいけないのか(いけなくはない)

当記事を検索エンジンで見つけられた方は、おそらく、時間がいつの間にかすぎてしまうことに対して焦りを感じていてなんとかしたいと思って検索されたのだと予想します。

もしあなたが焦っているのならばまずやることは、焦らないこと、自己嫌悪に陥らないこと、余計な解釈をしないことだと思います。なぜかというと、この時間認知の歪みは、生物としては意味があり役立つ機能だからです。それに加えて、焦ったり悩むことで、頭の中に余計な情報量が増え、さらに時間が無駄なことに消えていくからです。

なので、これはそういうものと理解して、自分がどうしたいのかをまず考えましょう。もし、時間の感覚を伸ばしたいのであれば、体感時間を長くすることでどうなりたいのか(達成感、充足感を感じたいなど)を考えてみてください。

体感時間を伸ばし、達成感や充足感を感じるにはどうすれば良いか

まず現状を把握

時間がどこに行ったのかわからないという方は、まずは自分が毎日どのように時間を使っているのかをざっくり記録するのをお勧めします。意識にないものは改善しにくいため、まずは自分の意識に持っていきましょう。クラウドベースのカレンダー(Googleカレンダーなど)やスマホに記録するでも良いですが、私の場合、どうしてもスマホを使うとスマホに注意が持っていかれるため、仕事中はコンピューター上でエクセルに管理しています。それ以外の時間は特に変えたいとは思ってないので、あまり忠実には記録していません。

また、ストップウォッチで仕事や家事などのタスクについてそれぞれ大体どの時間がかかるのかも把握するのもお奨めです。その時は必ず、マルチタスクはせずにシングルタスク(一つのことだけに注意を払って作業)をします。私の場合、ビジネスの見積もりやその他、日々の予定を立てるときに、タスクの所要時間を把握していると楽なのでおすすめです。

私の場合、スマホに入っているストップウォッチですとこれまた意識を持っていかれるため、仕事のタスクの場合は、デスクトップ上でできるものを使います。私が使っているTrelloAsanaというタスク管理アプリでは、他社提供のストップウォッチ機能を追加することができます(Trello の場合無料)。キッチンタイマーや普通のストップウォッチを使うこともあります。

次に分析

記録が終わったら、どういう風に1日がすぎていくのかよくわかるため、分析ができます。

その中で、自分にとって必要ではないと思うような時間の仕方をしている部分があれば、原因を考えたり対策法を考えます。「効率化」とか「生産性」だけが全てではないと思うので、あなた自身の基準で査定します。例えば、何の生産性や成果物もないけど、楽しい・リラックスする時間は大切にする、など。

私の場合、まず「記録する」こと自体が、いつの間にか意識からすり抜けてしまい難しかったですが、だんだんできるようになりました。そして分析の中で、自分のパターンとしてわかったのは

  • スマホの着信音に注意力を持っていかれる
  • You Tube見ながらなどの「ながら」作業で意識が持っていかれる
  • いろんなミーティングで時間が使われる
  • 通勤の時間がもったいない
  • 集中力を要するタスクをしているときに、家族(子供や一緒に住んでいる動物)からの中断が入り、未達成のまま次の行動に移り、最初のタスクが放ったらかしになってしまうことがよくある
  • クラアントからちょっとした質問や細々した作業を頼まれるときに、自分のやっていることを一旦ストップするため、その後に元の作業に戻ったときに余計に時間がかかってしまう
  • 忙しすぎて意識が吹き飛ぶ

でした。あなたはどうでしょうか?

対処法:物理的に、中断する機会や気が散る理由を減らす

時間を意識的に過ごすためにはなるべく、自分が「今」経験していることに注意を払うことが重要で、そのために、物理的に取り除けるような「中断」の要素をなくしていきます。

1. マルチタスクをやめて「シングルタスク」にする

昔は「マルチタスク」がもてはやされましたが、人は一度に1つのことにしかフォーカスできません。マルチタスクをしている人は、2つ以上一度にやっているような気がしているかもしれませんが、実は2つのことを切り替えてやっているだけであって、同時にやっているわけではないからです。

2. スマホを切る・着信音を切る

私たちの多くはスマホの着信をがなると即反応してしまうように訓練されています。他のことは後回しにできるのになぜかラインや電話はその時に反応してしまったりします。ですので注意力が全部スマホに持っていかれないように、着信音がならないように設定するあるいは電話の電源を切ってしまうのも良いでしょうk。

3. 整理整頓をすることで、仕事など目の前のもの以外に注意を引く要素を減らす。環境を整える

4.「ディープワーク」を実践する

上記のことは、カール・ニューポート の Deep Work: Rules for Focused Success in a Distracted Worldという本にも書かれています。こちらお勧めです。私の中で特に役に立った内容は、優先度の高いタスクやクリエイティビティを必要とする仕事は、「ディープワーク」とみなし、フローのような意識レベルに入れるように環境や時間帯を設定することと、そこまでではない仕事をシャローワークとみなしたり、休む時はきっちりと休む、といった意識の切り替え方について書いてあることです。詳しい内容は本を読んでください。

日本語版 英語版

意識の仕組みを学び脳をトレーニングをする

また、意識の仕組みについて学び、目の前にあるものに集中できるように脳をトレーニングすることも有効です。

5 .マインドフルネスを実施する

マインドフルネス」とは、過去のしがらみや未来への不安よりも、「今ここ」に集中することやそうできるように意識を持っていく訓練をすることです。こちらも、別の機会に深掘りしますが、「マインドフルネス瞑想 (mindfulness meditation)」というものを、YouTube やその他の音源を使って行っても良いですし、ただ単にご飯を食べるときに、他のことをせずにゆっくり味わって食べるということから始めても良いかもしれません。

6. 瞑想などを通して頭の中のおしゃべり(brain chatter)を減らす訓練をする

上記のマインドフルネスと繋がる部分がありますが、5分などの短い時間から始めても良いので、目を閉じて呼吸に注意を払い、頭の中に考えが浮かんでもその考えに注意を払わないという訓練もしてみてください。私のように考えごとが多い人はなかなか瞑想が苦手なのですが、トレーニングですので、だんだんできるようになってきます。じっとしていることが苦手な方は歩行瞑想などもありますので、やってみてください。

7. ヨガをすることで自分の体の隅々に注意を払う訓練をする

ヨガで体と呼吸に集中することでマインドフルネスを練習することもできます。私は以前はヨガも苦手、YouTube で B-Life というヨガチャンネルを見つけてから、1日5分から始めて、今ではヨガ=気持ち良いと感じるようになりました。よく、体と心はつながっていて、体の不調は心の不調と言いますが、ヨガをやるようになってから、それまで気がついていない体の箇所に不要な力が入っていることに気がつくようになりました。今のところヨガ以上に自分の体に注意を向けられるものを見つけたことがありません。

8. タイマーあるいはストップウォッチを使って、今やると決めたことしかやらない訓練をする

タイマーを5分なり10分なりセットしてその時間内に超集中して何かをやってみると、5分は結構長いということが実感できます。例えばですが、私は掃除があまり好きではないのですが、部屋の中の小さいエリアを指定して5分で整理整頓しようと思ってやるとかなり達成感を感じることができます。場合によっては、タイマーではなくストップウォッチを使っても効果的かと思います。そしてこの「数分でも結構いろんなことができる」という感情の積み重ねで、時間の感覚が変わります。

9. 時間の使い方に目的意識を持つ。

「無意識に時間を過ごす」から時間がすぐなくなる感覚があるので、「休む」とか「今から散歩して自然を楽しむ」など自分が時間の過ごし方を自分で選択している感覚を持つのも良いかと思います。

To-Do-List を減らす・予定を減らす

次に可能な限り、「やることリスト」を減らしたり、自分の心が喜ばない予定を減らしていきます。

10. GTD (Get Things Done) をやってみる

GTD というのはディビットアレンという人が開発したタスク管理のメソッドです。このメソッドでは、まず紙に「やらないといけない、あるいはやろうと思っていたのに放ったらかしていること」を自分をジャッジせずに書き出していきます(コンピューターでもいいです)。

「青いシャツのボタンをつけ直す」などといった小さいことでもいいですし、「〇〇さんに別れたいと告げる」など深刻なことでもなんでも頭の片隅に引っかかっていながらもやってないことを書き出します。そして、書き出したものをとにかく、すぐできるものからどんどん片付けていきます。

これをやってみて驚くのが、自分の頭を占拠していた事柄が、実はやってみたら数分しかかからなかったということも結構あるということです。もちろん、すぐにはできないものもありますが、誰かにやってもらう、自動化するなどして、あなたがそれを考えなくて良いようにします。例えばなのですが、ルンバを買って設定しておくことでとりあえず掃除機をかけなければいけないと思わなくて良いということです。ちなみに私この本読んでないのに勧めるのもおこがましいのですが、ご興味のある方は、こちらがその本です。

日本語版英語

11. アサーションを学び、人間関係のストレスを減らす:

コミュニケーションの結果として、時間の使い方がかなり変わってくることがあります。例えば、断れないとか言いたいことが言えないから無駄な予定を入れてしまったり、頼み事ができなかったり、批判をうまくできない・うまく受け取れないために悩んだりすることで時間を使ってしまったりする人もいるかと思います。アサーションを学ぶと、精神的にも予定の面などでも、かなりすっきりすることが多いのでオススメです。ご興味があれば、こちらの「アサーション イントロクラス:コミュニケーションパターンを変えて人生の主導権を自分に戻す」という無料クラスを覗いてみてください。

自然に触れる機会を増やす

12. 自然と触れる機会を増やす

自然の中にいると時間の流れがゆったりと感じられると思ったことはありませんか?自然と脳の時間認知の関係性を証明している論文がいくつかあるようです。(出典参照)

私個人的な体験では、2020年にロサンゼルスでのアパート暮らしから突然、田舎での自給自足生活に突入したのですが、時間の感じ方の違いを顕著に感じました。今住んでいるところの15分がLAでの1時間くらいに感じることが結構あります。勿論それだけのために田舎生活の方が良い、と言いたいわけではないのですが、時々自然の中を散歩するなど自然と触れ合う時間を増やすことでも時間認知が変わり、脳に良い影響があるようです。

出典:Time grows on trees: The effect of nature settings on time perception (Carleton University, Mariya Davydenko)
Awe helps us remember why it is important to forget the self (Jennifer Stellar, University of Toronto)

最後のまとめ:私の話

私は、20代と30代前半、時間がなくて焦る、時間がすり抜けていく、という感覚がものすごくありました。約10年間半分眠って過ごしていた感じです。毎日、朝眠いまま起きて、気がついたら会社のデスクで仕事をしていて、気がついたら家に帰って夜寝るという生活です。そして、あーもう1週間終わったのか、もう週末終わったのか、の繰り返し。これからずっとこの繰り返しで人生終わるのかなーと思ったこともありました。

ですが、この記事に書いたことを少しずつ理解するようになってから、人生の充実感が増し、楽しいので時間が濃く感じるように変わりました。

長くなりましたが、この記事がなんらかの形でお役に立てれば嬉しいです!

長いので音声バージョンも作ろうと思っています。

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この記事を書いた人

シャイで言いたいことが言えない・すぐイラッとしてしまい、人間関係のストレスで我慢の限界に来ている方に、知ってほしいことがあります。あなたが今持っているコミュニケーションパターンは、特定の相手、状況などに対して、あなたの無意識が反応している単なる「条件反射」であって、あなたの「性格」ではないということです。条件反射は、犬のトレーニングと同じで、学習と反復である程度直すことができます!

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